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いやー、泣いた。泣きました。
Amazonのレビューで泣いた泣いたと絶賛されていたこちらの作品。
近年めっきり涙腺が弱くなっているわたしも「泣くだろうな」と覚悟はしておりました。
案の定、読み進めるうちにぼろぼろと……
三十路女の号泣は美しくないんだよ!と己に怒りながらも、ページをめるくたび、いろんな感情が次々に浮かんできて、瞼が腫れるほど泣いてしまいましたとさ。

■あらすじ
10年間付き合っていた恋人に別れを告げられたつぐみ(受・職業:作家)。
同棲して9年。突然のことに驚くも、彼を引き止めるすべはなく、部屋を出て行く背中を見送るしかなかった。
ショックから執筆はスランプに入り、さらに、家を借りようにも身寄りがなくて会社勤めでもないつぐみでは保証人すら見つけられない。ゆらぐ足元、一人で生きる将来への不安、押し寄せる孤独。恋人がそばにいたころは決してなかった苦しみがつぐみを襲う。
そんなとき、街で偶然出会った青年・朔太郎(攻)の祖父が下宿の大家をしていると知ったつぐみは、思わず保証人なしでの入居を頼み込む。つぐみの作品の大ファンだったという朔太郎は、出逢いを喜び、つぐみの頼みを当然のように受け入れてくれた。
朔太郎はなんでも屋をしており、つぐみより8歳年下で、人目を惹くほど整った顔立ちに穏やかでまっすぐな性格をした青年だった。
骨折で入院している祖父の代わりに住みこみで大家を務める朔太郎とつぐみは、どんどん互いの距離を縮めていく。いつでも明るく優しい朔太郎と楽しい住人に囲まれた下宿での生活に、傷ついたつぐみの心は癒されていった。
しかし、少しずつだが、朔太郎との間に不可解なことが積み重なる。
なぜか忘れられてしまう約束。なにかに悩み、苦しんでいるような様子。突然辞めてしまったという前の勤め先の話。
その謎は朔太郎自身によって明かされた。
記憶障害。
事故で頭を打ったせいで健忘の症状が出る朔太郎は、忘れられてしまう恋人がかわいそうだと言い、「もう、誰とも恋愛はしません」とつぐみに告げた。つぐみも彼の気持ちを汲み、「友達」としての立場を貫くと決意する。それでも、いざというときは朔太郎を守る、と決めたつぐみは、これまでよりも仕事の幅を広げ、強く変わっていく。
その一方、徐々に進んでいく朔太郎の症状は彼を苦しめ続けた。つぐみは彼を守りたいと願うが、朔太郎はそれを受け入れてくれず、つぐみはアパートを出る決意をする。

■独断と偏見による感想(ネタばれあり)

ちょっとした約束や過去の出来事をなくしていって、最後は自分自身が誰かさえわからなくなってしまうんじゃないか……
朔太郎のそんな恐怖が落ち着いた文章からとても伝わってきました。悲しくて恐ろしい。でも、自分の苦しみだけはあるにせよ、忘れてしまうことで周囲の人を傷つけてしまう、と心配する朔太郎が切なかったです。優しい人なのだな、と思う。
つぐみも朔太郎の優しさに触れて、どんどん強い人になっていく。その過程がとても自然で、2人が互いに惹かれていくのがすとんと納得できました。
そう簡単にお付き合いには至らない2人をみていると、わたしはすぐに「じれったい」とか、「っていうかなんで好きなったの?」とか余計なことを考えてしまうのですが、今回はそれはなくてただひたすら読みました。

記憶障害、という大きなテーマもあるのだけど、個人的にはそのほかにもいろいろと感じるところが多い作品だなって言う感じ。
つぐみの感じる将来への不安とか、一人で生きて行くことに対するおそれとか、ともに生きる人が横にいないさみしさとか、がんばろうと思ってもどうしても力がでないこととか。
世代的なものもあるのかなあ。つぐみよりは少し年下のわたしですが、共感することしきりでした。
とはいえ、こうした心のひっかかりって、読む人の日常のどこかには潜んでいるものだと思うので、みんなどこかしらつぐみに共感する部分はあるんじゃないかと感じてます。そして、そういうところからつぐみが立ち上がっていく姿を読んで元気をもらえる人もいるかも。
つぐみは元から強いんじゃなくて、傷つきやすくて闘う勇気を持たない人だったと思うから、読んでて「わたしもがんばろう」的な気持ちになりやすいと思います。

ここまでちょっと重ためのことを書きましたが、気負わずにとにかく読んでほしい!ハッピーエンドだから大丈夫です!!!
本編だけでももちろん楽しめるけど、後日談のSSのラストが本当にいいのです。
あの2人が辿りついたのはこんな場所なのかあ……と、感慨深く切なく悲しく嬉しく、いろんな感情がまぜこぜになって号泣でした。
「キミをずっと幸せにする」ってよくBLでいうじゃないですか。それを体現したのがつぐみと朔太郎だ!って感じました。
書いてても泣きそうだし、今から読んでもう一回泣きたいけど明日目がパンパンに腫れるだろうからやめよう……。

下宿の住人のみなさん、朔太郎の祖父、つぐみの担当編集者さんなどなど、出てくる人たちがみな優しくてよい人たちばかりなのもすごく心が休まりました。テーマが重いので嫌なヤツがいたら読み進めるのつらかったかも。
つぐみの元彼もひどいやつだとは思いつつ、この人と付き合っているころのつぐみのことも知りたかったし、もしも2人が別れずにいたらどんなカップルだったんだろう?と想像したりもしています。

ちなみにキャラ文庫なのでエロは薄めです!でも2回はあります!
エロ描写を楽しむというよりは、2人の関係の変化を味わうものという感じ。
特に2回目の方は、つぐみと朔太郎がぴったりくっついて幸せそうにして、もう!本当によかったね!と思って幸せになる場面でした。

挿絵は小山田あみ先生。
もともと大好きな方ですが、今回も美麗で雰囲気のある絵が作品の雰囲気と合っていてとてもよかった。
P.237のイラストは2回目のエロシーンの絵なのですが、構図というか視点?が斬新でくるくると本を回しながら楽しんでしまいました!

■まとめ
記憶障害という重いテーマに手を伸ばすのを躊躇しましたが、読んで本当によかったと思える作品。
同じように迷っている人がいるとしたらぜひ!とオススメしたいと思います。

■おまけ
朔太郎とつぐみが住む下宿は、アパート兼下宿といった雰囲気の洋館らしいです。こういう下宿もの?が好きなのでそれもまたうれし。
下宿ものといえば、おおや和美さんの『オアシス計画(プロジェクト)!』とか月村奎さんの『秋霖高校第二寮』シリーズなんかもすごく好きだなあ。
あと、BLではないけど三浦しをんさんの『小暮荘物語』も何度も読み返してます。


■JUGEMテーマ:BL小説

11月頃からはからずもBL小説を読む時間的余裕がなくなり、ついにはストレスでじんましんが出るほどになってしまいました。
そんなわたしが真っ先に求めたのが、エロシーン描写とエロシーンを引き立たせる設定に定評があるバーバラ片桐先生の作品だったことは、我ながら納得の結果でした。

■あらすじ
大手広告代理店で働く佐藤(受)は、秘密の趣味に浸っていたところを高校時代の同級生・長崎(攻)に見つかってしまいます。
高校時代の長崎は有名な秀才だったものの、ひどく太って本ばかり読んでいる変人。対する佐藤は当時から今まで、人目を引く美男で通っています。しかし、再会した長崎は、学者としてアマゾンでの研究に没頭したおかげで、すっかり痩せて精悍な身体つきに(ただし、ださい眼鏡ともじゃもじゃの髪で顔立ちはよくわからず…)。
有り金を研究費として使いこんだせいで家賃まで滞納し、住むところを失っていた長崎に秘密の趣味のことで脅されて、佐藤は仕方なく彼と同居する羽目になります。
潔癖気味なところがある佐藤はずぼらな長崎に日々苛立ちを感じていましたが、徐々に彼との生活に安らぎを覚えるように。さらに、どうやら昔から佐藤のことが好きだったらしい長崎に身体を暴かれ、今までに感じたことがないほどの悦びにぐずぐずに蕩かされていきました。
ノンケだった佐藤は自分の気持ちをなかなか認められませんでしたが、ようやく受け入れかけた矢先、尋ねて行った彼の勤務先の大学で女性と親しげにしている長崎を見てしまいます。タイミング悪く、仕事でお荷物の先輩に振り回され続ける怒りが重なり、佐藤は激情に任せて長崎を家から追い出しました。
長崎が出て行った喪失感と縁故採用のお荷物先輩のお世話に疲れ果てたことで、ついに退職を決意した佐藤。
最後の仕事と決めた現場で、なぜか部外者のはずの長崎と再会し……。

 

■独断と偏見による感想(ネタばれあり)

帯は「今日はどんなの履いてるの?」
こちらで薄々お察しのことと思いますが、佐藤の秘密の趣味は女性の下着を身に着けることです。

表紙の帯を外すと、透け感のあるレースの下着を履いた佐藤が、M字開脚ばりにがばりと脚を開いて腰を突き出す様子が見れます。
Pixivの男性向け18禁イラストか?っていう煽情的な絵なので、うっかり人前で帯をお外しになりませんように……。わたしは一人の部屋で見ても若干動揺しました。
あまりその辺詳しくないのですが、Amazonで表紙画像が出ないのもなにか関係があるのでしょうか?

それにしても、高価な下着をコツコツ集め、手入れの面倒なそれらを大切にかわいがっている佐藤の様子は本当に尊敬に値するレベル。つらい気持ちになるので読む間わが身を振り返るのはやめた。
でも、彼の口から説明される女性物下着の素晴らしさを読んでいると、ちょっといい品を買いに行きたくなるから、BL小説がもたらす経済効果ってやつは想像を超えます。

肝心の感想。
佐藤はエリートらしく強気なところはありつつも、努力家で優しく、必死で働く姿が応援したくなるキャラでした。
彼は潔癖気味なところがあるのですが、それは幼いころに母親から受けた心の傷によるものということ。しかし、ずぼらな長崎は、佐藤の過去を知った上で、彼がいくら言っても部屋は散らかすし、放っておくと風呂にも入らず、入ったかと思うとびしょびしょに濡れたまま歩きまわって床を汚す。
わたしも整理整頓は苦手なのですが、それでも、脅して同居してる立場で、しかも、佐藤は人間関係のストレス抱えながら激務こなしてるんだから、家でぐらいゆっくりできるようちゃんとしろよ!!!!という怒りで、あまり長崎を好きになれず……。以前、占いかなにかで「常識に欠ける行動を取る人間を許せないタイプ」と言われたことが頭をよぎる。
ただ、部屋を清潔に保つことにこだわりを持ってしまうのは、佐藤が精神的に余裕を失っている証拠であり、長崎との生活に安らぎを得ていくことで許容する心が芽生えて彼自身楽になっていく、という流れが読み取れるので、話が進んでいくうちにわたしも長崎を受け入れていったのでした。
最近いらいらしておこってばっかりのわたしは佐藤に親近感を覚え、己を見つめ直すよい機会になりましたとさ……。
人はある程度適当なところをもったほうが楽に生きられる、ということ……。

最後には佐藤の悩みの種だったお荷物先輩の件もきちんと解決するので、これからは仕事にもますます打ちこめるし、ストレスが軽減して幸せにのびのび生きていけるね、という希望があって、すっかり佐藤を好きになったわたしは安心して本を閉じました。

お楽しみの濡れ場は、バーバラ片桐先生の作品だけあってとっても濃厚です。逆に濃いし長くて、バーバラ先生お腹いっぱいです!!!と叫びそうになりました。
@公衆トイレで挿入なしが1回。@佐藤宅で挿入ありが3回(うち1回は襲受気味)。
攻は(おそらく)童貞で、受は非童貞。受がはじめて指を挿れられてとまどいつつ快感を得て様子が楽しめます。あと、当然のことながら受は女性物の下着着用です。

個人的にかなり斬新だと思ったのは、こちらの表現。

すでにペニスには触られていないというのに、とろとろと溢れ出す蜜で先端が痒い。

か、痒いんだ!?!?と思わず呟いてしまいましたとさ。
薬を使われてむずがゆい、という記述はよく見かけるものの、そういうのはなくても痒いってことあるのでしょうか!

最後に挿絵について。
小路龍流先生の美麗な絵は、佐藤のようなマスコミ業界で働くエリート美男を描くのにぴったりマッチしていると思います。

一方、長崎は本文ではモジャモジャ頭に隠れているけれど美男らしい、ということが描かれているものの、顔がはっきり見えるイラストが少ないのが残念。
イラストを見つつ、こんなイケメン2人がこんなエロいことを……と読むのが楽しみなので、もっとしっかり見られるとうれしいかったように思います。まあ、モジャモジャで隠れてるから仕方ないのですかね。

あと、長崎が佐藤の下着を頭にかぶるという衝撃的な場面がイラストになっており、「小路先生の美しい絵でこんな変態仮面をみることになるとは……!」という驚きと楽しさがあったのは非常によかったです。

■まとめ
バーバラ片桐先生をはじめ、昨今のBL小説業界で活躍する方々のすばらしいところは、エロシーンとストーリーを見事に融合させているところだと再確認した作品です。
ストーリー自体が読み応えあること。そして、エロシーンがストーリーから浮かず、流れの中に存在していること。
エロければいいというものではないBLの深さ、おもしろさ、難しさを感じた1冊でした。

■おまけ
女性物の下着を愛好する受だと、腰乃先生の『未知との遭遇』もオススメ。
漫画なので、かわいい下着を楽しむ受の身体がたくさんたのしめます。

ほかのブログに浮気したりもしましたが、再びこちらに戻って参りました。
過去の記録は整理して、心機一転。どうぞよろしくお願いします。

台風逸れてよかったですね。
明日はスパークに行きます。友達のところで売り子しつつ、買い物もするのがたのしみ〜。
最近同人誌は本当に欲しいものだけに抑えるようにしているけど、どうなることやら…。

ところで、最近なぜ自分はBLが好きなのだろう??って考えることが多々あります。
あと、「この設定、このせりふ、BLじゃなかったら絶対受け入れられないのに、なんでBLだと好きになってしまうんだろう?」と思うことも。
一次も二次もかまわずBL大大大好きな腐女子である自分を嫌だと思ったことは1mmもないどころか、そんなこと考えたことすらなく、BLが好きなおかげで人生たのしくてありがとう!って気持ちなのですが、それでも「なんでだろう〜???」と理由を考えてしまうときはあるのです。

ジェンダー的な観点や文化論的な視点からそれを述べた文章は幾つもあるけれど、どれもいまいちしっくりこない。腐女子の方自身が語っていることですら、納得できないこともある。むしろ、BLが好きな理由って本当に人それぞれなんだろうな〜って感じます。
だから、「じゃあ自分はなんで好きなの?」と考えようとするのだけど、自分自身ですらぴんとくる理由が思いつきません。いつか見つかるのかなあ??

そして、今日読んだきたざわ尋子さんの新刊も、そんなことを考えさせられる作品だったのでした。

このお話、物心つく前に生き別れになっていた双子の精神が交代してしまう入れ替わりものです。
余談ですが、個人的に、入れ替わりものといえば観月ありさといしだ壱成が主演した『放課後』です。いしだ壱成すきだったなあ〜。




 

岩本薫先生のシリーズ作品以外のBBNは久しぶりだそうです。
生徒×教師なので、年下攻めが大好きなわたしはメチャ楽しみにしてました。イラストが腰乃先生ってところもほんとに超楽しみ要チェックポイントや!って感じだったので。

それにしても、ここ数年小説b-boy読んでなかったけど、また買い始めようかなあってぐらいに、今ものすごくBL小説をたくさん読みたい衝動高まってます。
明日辺り買って帰ってくるかも。

続きは感想です。

 

Amazonで予約してたのですが、金曜日に思い立って寄った書店でゲットできました〜。ドンドンパフパフ〜!!!!*\(^o^)/**\(^o^)/**\(^o^)/*

21日発売なのに都内だと18日の夜には手に入るのか〜!と大興奮。ジュンク堂池袋本店様様様〜!

この週末に読めると思ってなかったらとってもうれしい。そして、また芽吹さんと兵頭のお話を読めたっていうことが本当に本当にうれしかった。



続きは感想です。

なるべくストーリーの核心には触れないように心がけますが、ネタばれはしてしまうと思うのでお気をつけください。

 

短篇集です。

1:後輩×先輩の高校生バカップル
2:大学生の幼馴染
3:王子様系双子×強気高校生

3つのカップルのお話が入ってます。

***

1は明るくて甘々。すでに付き合ってる2人です。
受の先輩はかわいい系の元気な子。攻は受が大好きでエッチのときは強引系?ですかねー。

とにかく明るくてエロメインのお話なので、何も考えずに読めます。
初エッチ→コスプレ(セーラー服)エッチ→バスの中でエッチという感じで1話1エロで3話入ってます。

***

2は暗いお話。
受が実の兄に告白して拒絶された翌朝、その兄が事故死。
それから兄の部屋で、兄が好きだった花を抱えて眠るようになった受とその受が好きな幼馴染の攻。
攻は受に「兄のかわりでいいから」と言って、兄の部屋で事に及び…という感じ。

3話完結なんだけど、もう少し長くした方がよかったのでは?と感じました。
主人公である受の兄への想いや、兄がなぜそこまで強くきつく弟を拒絶したのか、幼馴染の攻の気持ち、受の攻に対する想いの変化などなど、ストーリーに描きこまず雰囲気で語っている部分が多く、わかったようなわからないような…というところが多くありました。
話の展開、というか時間の経過がよくわからずに混乱するところも。

受が攻によって救われるストーリーなのかな、と思って読んだし、そういうオチだったのだと思うのですが、救いの部分があっさりしていて最後の1ページを読むまで受の気持ちの変化に気づけませんでした。

個人的には、小嶋さんの魅力はかわいい絵柄はもちろんのこと、すこしおとぎ話めいた浮世離れしたところもある切ないストーリーにあると思っているのすが、このお話は短い3話に収めちゃったことでそれが中途半端になって「読んだけどよくわからなかった」感へとつながっちゃってる気がしました。
もう少し長いお話だったら違ったのかなあと思って、すごくもったいない気がしてます。

***

3も明るいお話だけど、1と違うのは受が最初から攻ラブ♡ではないところ。
幼いころ引っ越していった双子が、イケメンになって受のところへかえってきます。
両親に捨てられて(?)孤独な受は意地っ張りで強気で怒りんぼ。
受を守るとつきまとう2人のことも、うっとうしがって辛くあたりますが、大切にしてくれる双子の想いに触れて気持ちが傾いて…ってな感じ。

個人的には、このお話が一番好きかなあと思いました。
短篇1話だけど、子どものころから今までの小さなエピソードの積み重ねで、”受の想いがどうやって芽生えて変化していったのか”がよくわかった。
気持ちが通じ合っていないところからエッチまでが短いページで説得力ある感じでまとまっているのではないかなあ、と感じました。

王子様のようなんだけど乙女な攻の双子も、個性的でかわいかった。
欲をいえば双子たちの気持ちももっと読めたらよかったなあと思います。

ちなみに、3は続編が同人誌で出ています。
そちらもかわいいお話だし、(主に受が)ギャーギャー言いながらも仲良く暮らしているのがわかってすごくよかったです。

***

初期の作品だからか、同じシリーズの同じキャラでも若干髪型や顔が違うところがありました。
小嶋さんご本人も同人誌のコメントで書いていたのですが、3は特に顔の描き方がほかと違うのが顕著。
でも総じて、かわいらしい絵柄の魅力は十分かなと思います。

物語性が濃かったり痛いお話をあまり読みたくないときに、1と3がおすすめでーす。

宣言どおり、信号機シリーズを読んでみました。
まずは、あらすじを見て一番気になった「ミントのクチビル」から。

***

初恋の人と一夜を過ごした翌朝、酔いがさめた彼からひどい言葉でののしられた受。
そこに彼の恋人が現われます。
初恋の相手から傷つけられた受を心身共に守ってくれたその人は、王子様のようにかっこよくて優しい。
そんな人となぜかお試しで付き合うことになった受は次第に彼に惹かれていくのだが…!?

ざっくりいうと、こんなお話です。

***

受は乙女思考で女の子のような外見のかわいい男の子・桜哉(オウヤ)。19歳。
攻は美しめのイケメン・邦海(クニミ)。26歳。

人間関係がややこしいので、今回はキャラ名で書くことにしてみます。

恋人の浮気相手である受・桜哉を責めることもなく、最初っから甘々にかわいがる攻・邦海の態度が謎で、「どういうこと?」と読み進めてしまいました。
そこはストーリーでも重要なポイントになっています。

桜哉の初恋の相手は、男らしい系イケメンのバイ(?)でタチだったので、「そんな人と付き合っていたのに、どうして今度は正反対の自分に??」と、彼はずっと不思議に思うことに。
それに、邦海は元恋人(受けの初恋の人)のことを断続的とはいえ10年以上も想い続けていて「理想のタイプ」とまで言っていたのに、その浮気相手の桜哉を責めもしないし、むしろ傷つけられた桜哉を気遣ったり、元恋人にまったく未練を残していなかったり、といった辺りも謎。
そして、初恋の人はタチ…ということは、その恋人だった邦海はネコなのか??ってところも気になるポイント。
読む前に私が一番気になったのも、最後のところですね。

読んでいるうちに、「どうやら邦海は桜哉のことが本当に好きらしい」とか「邦海はかつては元恋人のことが本当に好きだったけれど、今は違うらしい」とか「邦海はタチっぽい」とか「邦海と元恋人は身体の関係はあったらしいが詳細不明」とかいろいろとわかってきます。
でも、「じゃあ、なぜ邦海と元恋人は付き合っていたの?」っていう大元のところがわからず、もやもや〜としたまま読み進めることに。

もちろん、その謎は最後には明かされます。
ただ、理由は明かされても、私は「あっ、そうなんだー!納得!」というすっきりした気持ちにはならず…。
理由としてはきちんとしたもので、こじつけでも無理やりでもないのですが…。

おそらく、桜哉と邦海が気持ちを通じ合わせて身体も重ねたあとの最後のところで、やっと謎が明かされたものだから、解決の盛り上がりに欠けてしまったのかなあ、と。
2人が気持ちを通じ合わせる場面で、こっちの謎も一気に解決してしまった方が、すっきりしたし読んでる方のテンションも上がったんじゃないかな、という気がしました。

ちなみに、このお話は東日本大震災の直後に書かれたらしいです。
もともとは、もっとシリアスな『リナリアの涙』を書いていたものの、「こんなときだからこそ、明るくて、ばかばかしくて、ひたすらあまったるいラブラブした話が書きたいな」という崎谷さんの気持ちから生まれた作品だそうな。
ただでさえ「明るくて、ばかばかしくて、ひたすらあまったるいラブラブした話」が好きな私としては、その気持ちはとってもうれしいし、崎谷さんの考え方には共感できました。

ただ、読んでみて、それほど「ばかばかしくて、ひたすらあまったるいラブラブした話」とは思わなかったかなあ。
前回読んだ、『ナゲキのカナリヤ』の方が「ひたすらあまったるいラブラブした話」と感じたかも。

というのも、すでに書いたとおり、攻の邦海に謎なところが多くて「受の桜哉のことが好きなんだろうけど、いまいちよくわからない」と思っちゃうところが一つ。
あとは、邦海の元恋人で桜哉の初恋の相手が、人間としてかなり駄目な奴だというのがどんどんわかっていくのが二つ目。
桜哉との浮気が邦海に見つかったことをきっかけに、ほぼ犯罪というべき悪事が表に出てきて、どんどん身持ちを崩していくんですよね。
さらりと書かれているとはいえ重いし、そんな奴に関わっていただけでなく、本気で好きだった2人が、自分を責めてつらそうにしているのは読んでて心が痛みます。
『ナゲキのカナリヤ』もトラブル自体は重かったけど、受はとばっちりで巻き込まれた感じだったので、それほど痛くはなかったんだろうなあ。

エロスは場面自体が少ない(挿入なしのエロシーンとありのエロシーンが1回ずつ)ので、ちょっと残念かなあー。
個人的にツボなセリフやら設定があったのでよかったですが、だからこそもう少し読みたかった。
お風呂に入るくだりなど、濃いものをしていそうということは匂わせつつもあっさり数行ですませている部分があって残念でした。
それをちゃんと書いていたら、エロシーン自体が少なくても満足度は高かったかな。

そして、本編のほかに、同じ信号機シリーズの『ヒマワリのコトバ』の登場人物で、この作品にも出てくる昭生と伊勢のSSが入っています。
個人的には、SSはこの2人ではなくて桜哉と邦海のものが読みたかったかなあ。
2人が気持ちを通わせてからの後日談がほぼなかったので、できればそれを読みたかったかも。
桜哉と邦海も魅力的なキャラだと思ったし、ようやく邦海の過去の謎(元恋人の件)も明らかになってすっきりしたところだったので、疑問を持たずに楽しめる後日談がほしかった。

信号機シリーズは前半3作品が出た後、後日談をまとめた短編集も刊行されたみたいなので、今回もそういったものがあればいいなあ、と思います。
その際は、邦海がでろでろに桜哉を甘やかして束縛しているとかを読んでみたい気がする。
邦海は恋人を束縛するタイプらしいですが、今回はそれほど束縛している感じの行動はなかったので。
しかも、桜哉は束縛されるのが好きみたいなので、束縛しつつも2人でいちゃいちゃしている話なんか、読めたらいいですねー。

b-boyノベルスで出たものの文庫化。
小説b-boyに載ったときも読んだし、ノベルスも持ってるけど、また買ってしまった…。

というのも、雪代鞠絵さんって今なにか書かれたりしているのか知りたくて!

一時期、ルチルで文庫化が進みましたけど、新作って書いてないですよね???
こちらも、書きおろしのSSはありますが、2009年刊行だし…。
すごく好きな作家さんなので、なにかご存知の方いたらどうか教えてくださーい!

***

弁護士×薄幸少年(16歳?)。

受がかわいそうな生い立ちなんですよーー!
交通事故で両親を亡くしたうえに悪徳弁護士につかまり、被害者側であるにもかかわらず多額のお金を奪われて、中学卒業後、親戚の家から逃げるように独立したもうすぐ16歳の少年。
アルバイトで生計を立てながらなんとか暮らしているうちに、13歳年上の弁護士と知り合って…というお話です。

少女めいたかわいさがある、かわいそうだけどつらい境遇に負けない素直で健気な受、というのは雪代さんお得意の感じ。

こんなひどいのありえないよー!と思ってしまいそうな生い立ちですが、受のふわふわした語り口もあり、おとぎ話のような現実離れした感じを楽しめました。
実際、作中にも昔話の「ぎんぎつね」を匂わすやりとりがあり、雪代さんもそのあたりを意識して書かれたのかな?という印象。

イラストはテクノサマタさんで、繊細で暖かみのある挿絵の雰囲気もとっても合っていると思います。
ちなみに、雑誌とノベルスまでは六芦かえでさんでしたが、とてもすっきりとしつつもかわいい絵柄で、そちらもすごく好きです。

受けの境遇や過去のせいもあって、なかなかすんなり幸せラブラブHAPPYというわけには
いかないけど、そうしたかわいそうな状況や途中で起きるひどい出来事が、読み手の受けを応援する気持ちを育ててくれる感じ。
あと、2人が付き合うまでを描いた表題作は、文庫で130p程度なので、「かわいそうだよー!ひどいよー!」という気持ちもまあ我慢できるうちに終わるかな、と。

途中、受けが攻めのことを誤解して気持ちがすれ違うところがありますが、受けが素直で一生懸命なので、うじうじしやがって!的な気持ちにはならず、切なくてかわいそうという思いになる。

エロはあるけど、ページ数は少ないし、それほど濃くもありません。
受けがとても幼い(実際まだ子どもだし)ので、エロー!っていう雰囲気も合わないからちょうどいいのかな、と思います。

文庫には、表題作のほかに、後日談が2つとSSが1つ入ってます。
後日談のうち1つとSSは書きおろし。

後日談は、一つが受け視点、もう一つが攻め視点のお話。
どちらも付き合ったあと、ちょっとしたことで相手の気持ちを疑ってしまう様子が書かれています。
受けがどんどん成長していく様子がわかり、聡明さや素直さがよく伝わります。
不幸な境遇でかなり社会から弾かれそうになっていたけど、それでも変な風に曲がらなかったのは、生来的な性格の良さのせいだよなあーと思う次第。

表題作と後日談で中編×2+短篇×1という感じだから、一つ一つすごくストーリーが凝っているというわけでないけど、とても不幸だった受けが攻めと出会って幸せな形で成長していく様が長いスパンで見られるので、読みごたえはあると思います。
最初はつらいけど、未来はずっと幸せでいられそうと思えるので、そのアップダウンが満足感を大きくしてくれる感じ。
読んだなー!という充実した気持ちを味わえるのでは??

あと、いつもの雪代さんの作品同様、食べ物が重要な役割をはたしていて、コンビニでおいしい甘いもの買って食べたいなあーという気持ちになります。

ルチル文庫ってもう創刊して8年なんだあー!!!
帯を見て知りました。

好みな作品が多いレーベルなので、「BL小説読みたいなー。でも読みたいのが決まってないなー」っていうときは、ルチルの新刊から選ぶことが多いです。
そうすると大体当たりなので信頼してますルチル文庫さん。
おめでとうございます!これからもがんばってほしいです!

***

今回も上に書いたように、「なんか読みたいけどどれがいいかわからない!」ということでルチルの新刊から選んだもの。

初めて読む作家さんです。
2011年に花丸に掲載されたものを改題&大幅加筆修正したものだそうな。

身代わりもの&アイドルもの&セレブものでーす。
超巨大企業グループの娘で元大人気アイドルの女の子の身代わりに選ばれたおバカ青年が、教育係にしごかれつつもがんばっているうちに好きになってしまって…!?という話。
教育係が身代わり元の女の子のことを好きそうだったり、セレブによくある陰謀にまきこまれてしまったり…と王道どころは外さないです。

文章も読みやすいし、250ページぐらいで手軽だし、内容も王道なので「何も考えずにBLを読みたい!」という時にはいいかも。
私は「なんかちょっとBL読みたいー」という感じで読んで、「面白かった!」という満足を味わえました。

ただ、手軽なだけに、しっかりBLを読みたいときにはいろいろと物足りないところもあり。
たとえば、身代わり相手が女性&超セレブというハードルにも関わらず受は順調に立ち居振る舞いとかを習得しているように見えるし、ばれそうになることもなくて身代わり作戦はうまくいきすぎだし、身代わりしている様子もそれほど書かれないし、陰謀は唐突に出てきて唐突に終わるし……といった感じ。
読んでる最中は違和感はないしどんどん読めるんだけど、あとから思い返すと、さらーっとしていたなあっていう印象。
深い描写がないだけに、心に深く残って誰かに話したくなる、という感じではありません。

一番残念だったのは、攻めが受けを好きになったタイミングや理由がよくわからなかったことかなあ。
攻めは受けを見つけ出してきて教育係も務めるわけですが、最初から好きだったのか、それとも途中から好きになったのか、途中だとしたらどの出来事がきっかけだったのか…などなど気になるけれども、読んだだけではちょっとわからなかった。
あと、受けのどこが好きなのかも。
おそらく、一生懸命なところとか性格面が気に入ったのだろうとは思うんだけど。
総じて、攻の方に関する描写が薄めなので、「この人見た目はかっこよさそうだけど、どんな人なのかよくわかんないなー」のまま終わってしまった。

今のままでも楽しめますが、こうした辺りの書き込みがあったら、もう少し全体に感情移入できて濃い印象を残す作品になったかも?

あと、エロシーンはあんまりがっつりしてない印象です。
それなりにページ数はありますが、エロい感じはしなかった。
エロシーンを削れば、もうすこしライトなレーベルでもいけるかもですね。っていうか、そもそも花丸に出たんだった!

いろいろ書きましたが、読みやすくておもしろかったので、この作者の別の作品が出たらまた読んでみたいと思います。