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いやー、泣いた。泣きました。
Amazonのレビューで泣いた泣いたと絶賛されていたこちらの作品。
近年めっきり涙腺が弱くなっているわたしも「泣くだろうな」と覚悟はしておりました。
案の定、読み進めるうちにぼろぼろと……
三十路女の号泣は美しくないんだよ!と己に怒りながらも、ページをめるくたび、いろんな感情が次々に浮かんできて、瞼が腫れるほど泣いてしまいましたとさ。

■あらすじ
10年間付き合っていた恋人に別れを告げられたつぐみ(受・職業:作家)。
同棲して9年。突然のことに驚くも、彼を引き止めるすべはなく、部屋を出て行く背中を見送るしかなかった。
ショックから執筆はスランプに入り、さらに、家を借りようにも身寄りがなくて会社勤めでもないつぐみでは保証人すら見つけられない。ゆらぐ足元、一人で生きる将来への不安、押し寄せる孤独。恋人がそばにいたころは決してなかった苦しみがつぐみを襲う。
そんなとき、街で偶然出会った青年・朔太郎(攻)の祖父が下宿の大家をしていると知ったつぐみは、思わず保証人なしでの入居を頼み込む。つぐみの作品の大ファンだったという朔太郎は、出逢いを喜び、つぐみの頼みを当然のように受け入れてくれた。
朔太郎はなんでも屋をしており、つぐみより8歳年下で、人目を惹くほど整った顔立ちに穏やかでまっすぐな性格をした青年だった。
骨折で入院している祖父の代わりに住みこみで大家を務める朔太郎とつぐみは、どんどん互いの距離を縮めていく。いつでも明るく優しい朔太郎と楽しい住人に囲まれた下宿での生活に、傷ついたつぐみの心は癒されていった。
しかし、少しずつだが、朔太郎との間に不可解なことが積み重なる。
なぜか忘れられてしまう約束。なにかに悩み、苦しんでいるような様子。突然辞めてしまったという前の勤め先の話。
その謎は朔太郎自身によって明かされた。
記憶障害。
事故で頭を打ったせいで健忘の症状が出る朔太郎は、忘れられてしまう恋人がかわいそうだと言い、「もう、誰とも恋愛はしません」とつぐみに告げた。つぐみも彼の気持ちを汲み、「友達」としての立場を貫くと決意する。それでも、いざというときは朔太郎を守る、と決めたつぐみは、これまでよりも仕事の幅を広げ、強く変わっていく。
その一方、徐々に進んでいく朔太郎の症状は彼を苦しめ続けた。つぐみは彼を守りたいと願うが、朔太郎はそれを受け入れてくれず、つぐみはアパートを出る決意をする。

■独断と偏見による感想(ネタばれあり)

ちょっとした約束や過去の出来事をなくしていって、最後は自分自身が誰かさえわからなくなってしまうんじゃないか……
朔太郎のそんな恐怖が落ち着いた文章からとても伝わってきました。悲しくて恐ろしい。でも、自分の苦しみだけはあるにせよ、忘れてしまうことで周囲の人を傷つけてしまう、と心配する朔太郎が切なかったです。優しい人なのだな、と思う。
つぐみも朔太郎の優しさに触れて、どんどん強い人になっていく。その過程がとても自然で、2人が互いに惹かれていくのがすとんと納得できました。
そう簡単にお付き合いには至らない2人をみていると、わたしはすぐに「じれったい」とか、「っていうかなんで好きなったの?」とか余計なことを考えてしまうのですが、今回はそれはなくてただひたすら読みました。

記憶障害、という大きなテーマもあるのだけど、個人的にはそのほかにもいろいろと感じるところが多い作品だなって言う感じ。
つぐみの感じる将来への不安とか、一人で生きて行くことに対するおそれとか、ともに生きる人が横にいないさみしさとか、がんばろうと思ってもどうしても力がでないこととか。
世代的なものもあるのかなあ。つぐみよりは少し年下のわたしですが、共感することしきりでした。
とはいえ、こうした心のひっかかりって、読む人の日常のどこかには潜んでいるものだと思うので、みんなどこかしらつぐみに共感する部分はあるんじゃないかと感じてます。そして、そういうところからつぐみが立ち上がっていく姿を読んで元気をもらえる人もいるかも。
つぐみは元から強いんじゃなくて、傷つきやすくて闘う勇気を持たない人だったと思うから、読んでて「わたしもがんばろう」的な気持ちになりやすいと思います。

ここまでちょっと重ためのことを書きましたが、気負わずにとにかく読んでほしい!ハッピーエンドだから大丈夫です!!!
本編だけでももちろん楽しめるけど、後日談のSSのラストが本当にいいのです。
あの2人が辿りついたのはこんな場所なのかあ……と、感慨深く切なく悲しく嬉しく、いろんな感情がまぜこぜになって号泣でした。
「キミをずっと幸せにする」ってよくBLでいうじゃないですか。それを体現したのがつぐみと朔太郎だ!って感じました。
書いてても泣きそうだし、今から読んでもう一回泣きたいけど明日目がパンパンに腫れるだろうからやめよう……。

下宿の住人のみなさん、朔太郎の祖父、つぐみの担当編集者さんなどなど、出てくる人たちがみな優しくてよい人たちばかりなのもすごく心が休まりました。テーマが重いので嫌なヤツがいたら読み進めるのつらかったかも。
つぐみの元彼もひどいやつだとは思いつつ、この人と付き合っているころのつぐみのことも知りたかったし、もしも2人が別れずにいたらどんなカップルだったんだろう?と想像したりもしています。

ちなみにキャラ文庫なのでエロは薄めです!でも2回はあります!
エロ描写を楽しむというよりは、2人の関係の変化を味わうものという感じ。
特に2回目の方は、つぐみと朔太郎がぴったりくっついて幸せそうにして、もう!本当によかったね!と思って幸せになる場面でした。

挿絵は小山田あみ先生。
もともと大好きな方ですが、今回も美麗で雰囲気のある絵が作品の雰囲気と合っていてとてもよかった。
P.237のイラストは2回目のエロシーンの絵なのですが、構図というか視点?が斬新でくるくると本を回しながら楽しんでしまいました!

■まとめ
記憶障害という重いテーマに手を伸ばすのを躊躇しましたが、読んで本当によかったと思える作品。
同じように迷っている人がいるとしたらぜひ!とオススメしたいと思います。

■おまけ
朔太郎とつぐみが住む下宿は、アパート兼下宿といった雰囲気の洋館らしいです。こういう下宿もの?が好きなのでそれもまたうれし。
下宿ものといえば、おおや和美さんの『オアシス計画(プロジェクト)!』とか月村奎さんの『秋霖高校第二寮』シリーズなんかもすごく好きだなあ。
あと、BLではないけど三浦しをんさんの『小暮荘物語』も何度も読み返してます。


■JUGEMテーマ:BL小説

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